以前から注目していたシェアハウスの裁判。
初の司法判断が下されました。
<シェアハウス>組合の使用禁止要求…東京地裁、仮処分却下毎日新聞 10月24日(木)配信
東京都港区麻布十番の分譲マンション7階フロア(83平方メートル)をシェアハウスに改造して貸し出すのは「住人の共同の利益に反する」として、管理組合がフロア所有者を相手取り使用禁止を求めた仮処分申請で、東京地裁は24日、申し立てを却下する決定をした。
地裁は「トラブルが著しく増加するとは認め難い」とし、シェアハウス転用を禁止した管理規約の変更は無効と判断した。
組合側は即時抗告する方針。
極端に狭く火災時に危険な「脱法ハウス」が問題化。
マンション1室を多人数向けに区分けする方式も各地でトラブルになり、初の司法判断が注目されていた。
今回、組合は不特定多数の入居を問題視したが、決定は「規約で事務所使用を認めており、もともと居住者・従業員を判別できなかった」と指摘。
計8室に区切られたうち1室は物置と業者側は主張しており、最大7人の居住は「1世帯使用より若干増加するに過ぎず、判別が相当困難になるとは認められない」とした。
7階フロア(3LDK)は元々1住戸で、今年4月に東京・日本橋の不動産業者が競売で落札。
組合の反対を押し切って改築し、東京消防庁と港区が8月に立ち入り調査しようとしたが、業者は区については拒否。
組合は同月、「シェア禁止」の規約変更をした。
調査拒否について地裁は「(法令が求める)設備などの一部が備わっていない可能性が高い」とする一方、「マンション全体の安全性を弱め、他の居住者の生命身体に影響するとは言えない」とした。
組合の男性理事長は「住民の不安や資産価値下落の心配などを全くくんでいない決定で残念」と話した。
日本橋の業者は「主張が認められて安心した。区からはその後、(調査について)何も連絡がない」としている。
◇解説…シェアハウス、法令整備急務
今回の決定は、単純に「マンション内のシェアハウスが全面的に認められた」とは解釈できない。
規約で事務所利用を認めていたことや、区切られた個室の広さが東京都条例で定める最低基準(7平方メートル)を超えていることなど、固有の事情が大きく影響しているためだ。
業者が区の調査を拒否し、管理組合側が内部実態を十分に示せなかったのも大きい。
組合側は、申請図面(5室)と異なる設計にしたり、用途を当初は隠したりするなど、信頼関係を築こうという姿勢からはほど遠い業者側の進め方に不信感を募らせた。
こうした事例がまかり通れば、新しいライフスタイルとして広がり始めたシェアハウスのイメージを損なうことにもなる。
トラブルを防ぐためにもシェアハウスを巡る法令整備は急務だ。
一律に「寄宿舎」の基準を当てはめるだけでなく、広さと人数の関係や火災時の安全確保策などを明文化した上で、定期的な安全確認検査を義務付けるようなルール作りも検討すべきだろう。
個人的意見ですが、原告組組合側の心情は理解できます。
解説にも書かれていますが、今後、シェアハウスのさらなる法整備が必要ですね。