隣地境界線から外壁までの距離
2015.02.26
建築する場合、隣地境界線から最低どのくらい離さなければいけないのか?
簡単なようで・・・、意外と複雑です。
よく言われるのが『50cm離す』
これは民法234条が根拠。
『建物を築造するには、境界線から五十センチメートル以上の距離を保たなければならない』
しかし、実際には敷地境界線ギリギリに建っているビルを沢山見かけます。
これらはすべて違法建築物なのか?
実際はそうではありません。
下記3つの場合が考えられます。
@隣地所有者の承諾が得られた場合
隣地所有者が承諾すれば50p離す必要はありません。
ま、稀だとは思いますが、、、
A慣習がある場合
民法236条で『慣習あるときはその慣習に従う』と規定しています。
つまり、50p離さなくてもよいという慣習であれば、50p以下でも良いことになります。
都市部繁華街が習慣に該当しているのかもですね。
B防火地域、準防火地域の耐火構造建築物
建築基準法65条に以下の規定があります。
『防火地域又は準防火地域内にある建築物で、外壁が耐火構造のものについては、その外壁を隣地境界線に接して設けることができる』
建築基準法65条に該当する建物は、民法234条の適用を排除できます。
(最高裁判例 平成1年09月19日)
結果、隣地境界線ギリギリまで建てることができるという事になります。
ちなみに、建ぺい率の制限が80%とされる用途地域内で防火地域内にある耐火建築物は、建ぺい率の制限を適用しないため、理論上は建ぺい率100%の建築物が建てられます。
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法律を知っていると知らないでは物件探しにも大きく影響します。
今度購入する京都マンション1号。
本土地において、上記内容を売主様が完全に理解していない可能性も。
この土地に将来新築したいボリュームプラン。
『今回の購入価格=土地』と仮定しても、一種単価は約35万円。
売主様は50万円ぐらいと思っているかもしれません。
実際には平成築のマンションが建っている事から、割安と判断し契約に至りました。
同じ土地を検討する場合でも、情報量の差で人によって答えが変わります。
慢心せず、日々勉強ですね。