ファンドバブル時代に高値で取引され、その後、塩漬けになっていた地方物件も動き出したようです。
不動産マネーは地方を目指す 割安感で脚光2013/10/20 日本経済新聞
■塩漬け物件にも動き
「とうとう、あの物件までが売買の対象になるのか」……。
ある不動産ファンドの幹部は感慨深げにつぶやいた。
あの物件とは、福岡を代表する“夜の街”中洲地区の中心に立つ複合商業施設「gate’s(ゲイツ)」。
現在の中核テナントはドン・キホーテと有料場外馬券売り場。
中洲は百貨店や商店街を擁する博多地区と天神地区に挟まれているが平日の昼間は買い物客はおろか、人影もまばら。
商業施設の立地としては恵まれていない。
ゲイツが脚光を浴びたのは私募ファンドが欧米投資銀行の融資を受け国内不動産を買いあさった「ファンドバブル」がピークを迎えた2007年。
不動産ファンド大手のケネディクスが米AIG系のファンドに200億円前後で売却。
地方の高値売買の案件として注目を集めた。
だがその後バブルは崩壊。
長らく塩漬けになっていたがAIGに代わって所有権を持つ外資系投資銀行が福岡の不動産市場の活況ぶりを受け最近売りに出し、話題を呼んでいる。
投資マネーは福岡の不動産市場を席巻している。
米系のメットライフアリコ生命保険は2月、天神地区の中心部にある商業ビル「天神西通りスクエア」を約100億円で取得。
米モルガン・スタンレーのファンドも7月、市内のオフィスビル「大博多ビル」を約50億円で購入した。
「福岡市中心部で、足元のビル入札価格は昨年に比べ2割ほど高くなった」(地元不動産幹部)
賃貸住宅でも、REITの大和ハウス・レジデンシャルやシンガポールREITのアスコット・レジデンス・トラストなどが福岡の大規模賃貸マンションを取得した。
「購入した海外投資家が地元の富裕層に短期で転売するケースも目立つ」(台湾系不動産運用会社のアジリティー・アセット・アドバイザーズの海保欣司社長)という。
なぜ福岡が人気なのか。
「九州新幹線の開業による人口流入やアジアの窓口機能など、今後の成長シナリオを資金の出し手である機関投資家に説明しやすい」(三井住友トラスト基礎研究所の加藤えり子部長)からだ。
投資マネーの矛先は復興需要シナリオを描ける仙台にも向かっている。
6月に上場したREIT、野村不動産マスターファンドは、仙台市の繁華街に立地する商業施設「一番町stear」を取得した。
「ZARA」や「プーマストア」が入店、賃料は1坪(3.3平方メートル)5万〜6万円以上と東京都心の最高クラスのオフィスビル並み。
同REITの保有資産を運用する野村不動産投資顧問の片岡隆執行役員は「一等地であれば、地方物件でも賃料は底堅い」と強調する。
ケネディクスも2月、同市内のオフィスビルに機関投資家と共同投資した。
札幌でも不動産の投資需要が活発だ。
シンガポール系医療関連のヘルスウェイ・メディカルグループが特別目的会社(SPC)を通じて介護付き有料老人ホームを取得したほか、「リスク分散を狙って2億〜3億円のオフィスや賃貸住宅を東京の富裕層が買っている。
築年数が新しいものは値上がりが目立つ」(東急リバブル)という。
■大阪にもマネー流入
東京に次ぐ経済規模の大阪にも不動産マネーは流入している。
足元で注目を集めた物件は、日本リテールファンドが10月初旬に取得した商業施設「Gビル心斎橋03」。
取得額は223億円と金額もさることながら、投資利回が4%前半と大阪の商業施設としては低水準だったためだ。
場所は大阪の一等地。
テナントには「ユニクロ」の旗艦店が入る。
ドイツ銀行グループのファンドから相対取引で取得し、「買う決断が遅れれば入札になり、値段も上がっただろう」(同REITの運用会社、三菱商事・ユービーエス・リアルティの辻徹社長)と説明する。
(中略)
オリックス不動産投資法人は15日、11月に5物件を購入すると発表した。
5物件中3物件は金沢、秋田と地方だ。
金沢は繁華街の賃貸住宅、秋田はJR秋田駅近くの商業施設で、想定する投資利回りは7%前後。
「5物件の平均利回りは5.1%。都心物件と安定した収益が見込める厳選した地方物件の組み合わせで、分配金利回りを高める」(同REITを運営するオリックス・アセットマネジメント)
2006年頃の雰囲気に似てきましたね。
ただ、現在も空室率は高止まりで、家賃上昇の気配も全く感じられません。
家賃が上昇するようなインフレになればもう少し景気の良い話が続きそうですが、、、
この先どうなるか、注視ですね。
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